世界のイスラムジョーク集 早坂隆 著 中公文庫

「私たち日本人は「イスラム」と聞くと「テロ」を連想し、怖いイメージを
持っていますが、実際はイスラム教徒たちもテロのニュースに心を痛めている
人たちがほとんどです。とくにアラブ人は親切でおしゃべり好きで、砂糖の
沢山入った熱い紅茶を飲みながら、よくジョークを言って笑います」
と著者は書いています。

著者の承諾なしにジョークを一つ紹介します。
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ある男が一心にアッラーに祈りを捧げていた。
「偉大なるアッラーよ。どうか私を助けてください。私は商売に失敗して破産
してしまいました。このままでは車を売らなければなりません。どうか宝くじ
を当てさせてください」
そして宝くじの当選発表の日がやってきた。しかし当選したのは別の男だった。

1週間後、男は再びアッラーに祈りを捧げていた。
「偉大なるアッラーよ。どうか次こそ私を助けてください。車を売りましたが
まだお金が足りないのです。このままでは家を売らなければなりません。どうか
宝くじを当てさせてください。
そして宝くじの当選発表の日がやってきた。しかし当選したのは別の男だった。

また1週間後、男はアッラーに祈りを捧げていた。
「偉大なるアッラーよ。どうか今度こそ私を助けてください。車も家も売りま
したが、まだお金が足りないのです。このままでは一家心中しなければなりま
せん。どうか宝くじを当てさせてください」
すると突然、天空からまばゆい光が射し込め、何者かの声が聞こえてきた。
それは誰あろうアッラーの声であった。
「おまえの願いはわかっている。私はおまえを助けたいと思っている。しかし
私にもできることとできないことがある。そこで、ここではお互いに歩み寄ろう
ではないか。」
「といいますと?」
アッラーは一息吐いてからこう言った。
「宝くじを買わんか!この馬鹿もの!」
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ジョークのほかにイスラムの人々の日常生活が紹介してあり、興味深い本です。