森林はCO2を吸収するか


この前書いたブログで「定常状態の森林はCO2を吸収
しないのでは?」 と書きましたが ↓
http://d.hatena.ne.jp/junti/20091025


以前、環境関係の勉強会に参加した時のことです。
先生がCO2の自然界での循環を書いた図を示して
説明していました。
下記のような図です。


炭素循環図 ↓ (無断引用御免)
http://www.data.kishou.go.jp/kaiyou/db/co2/knowledge/carbon_cycle.html
二酸化炭素(CO2)の循環を書こうとすると酸素(O2)
 が付いたり離れたりするのでややこしい。そのため炭素(C)
 だけを取上げて書くのが一般的です)


この図を見ると判るのですが、森林はCO2を吸収
していない。
(この図でいえば、吸収1200に対して排出1196)


ある聴講生からこんな質問が有りました。
「森林はCO2を吸収する、と思っていたのですが、
 どうして吸収しないのですか?」


先生はちゃんと答えられませんでした。
代わって私の知識の範囲内でお答えしますと・・・


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(なぜ樹木はCO2を吸収するのか)
樹木はCO2を吸収してCを体内に取り込み、O2を排出します。
これを光合成といいます。
樹木がどれくらいCO2を吸収するのか、測定するのは大変難しい
のですが、それを知る良い方法があります。
樹木の構成元素のうち、重量比で約50%をCが占めます。
ですから、樹木が生長する時、生長量の半分のCをCO2の形で
吸収していると考えられます。


(森林全体では吸収するのか)
ですから、樹木は生長している時はCO2を吸収します。
ところが寿命がきて生長が停まると吸収しなくなります。
そして、枯死して腐る段階になると、せっかく体内に貯めたCを
CO2の形で放出します。また、枯葉も腐る時CO2を放出します。
従って定常状態の森林(成熟した、原生林と言ってもいいでしょう)
はCO2の収支±0になります。


(森林を吸収源にするにはどうしたら良いか)
そういうわけで、森林をCO2吸収源にするには、寿命がきた樹は
伐り出して、利用すれば良いのです。
「木造住宅はCO2の缶詰」 と言われるのはこのことです。
そして伐った後には若木を植林して、森の中を成長段階の樹ばかり
にしておくことです。


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地球温暖化対策として、「森林をCO2吸収源にするためには森林
管理が必要」 というのはこういう事情があるのです。