北枕と西方浄土の科学的考察


齢(よわい)を重ねると、どーでもいい知識が増えてきます。
その中からもう一つ。


私たちは縁起が悪いから、といって寝るとき頭を北にしませんよね。
死んだ人を北枕で寝かせる風習が定着しているためです。


なぜ死人を北枕で寝かせるか知っていますか。
実は科学的な根拠があるのです。


「頭寒足熱」 という言葉をご存知でしょう。頭を冷やし足を
温めるのが健康に良いのです。


昔はエアコンが無かったですから、重い病気に掛った人を寝かせる
とき「頭寒足熱」 の原理に従い、日当たりの良い部屋に、頭を北、
足を南にしたのだそうです。


そしてもう一つ、西方浄土という考え方について。


体の具合が悪い時、上向きではなく横向きに寝た方が楽なことは
体験的にご存知でしょう。
そのとき、体の右側を下にするか左側を下にするか。
左を下にすると心臓を圧迫します。ですから右を下にした方が体は
楽なのです。


すると、頭を北に、体の右を下にして寝ると、顔は西を向きます。


そしてそのまま死んでしまったら・・・
北枕、顔は西を向いて、となります。


昔は死亡診断が今ほど正確ではありませんから、死んだと思った
けど、しばらく寝かせといたら動き出した、なんてことが起こり
ます。
そういうこともあるので、しばらくは北枕、西を向いて寝かせて
おくのです。
(そのなごりで、現代でも、医師の死亡宣告から24時間は火葬
 にできないことになっています)


話は戻って、
死んだとき向いている方向。 「極楽浄土は遥か西方にある」 
というのはここから来ています。
もちろん太陽が行く方向、という意味もありますが。